空き家講座 ②空き家を所有し続けることで起こりうる問題
前回は、統計情報から空き家の現状を見てみました。
この章では、空き家を所有することで起こりうる問題の話をしていきます。
②空き家にかかるお金の話
使っていなくても、家を所有することでかかるお金があります。
1.固定資産税・都市計画税
まずは税金。
毎年、土地・家屋が所在する市町村に固定資産税を納めます。
税額=課税標準額×税率(1.4%)
市町村によっては都市計画税がかかります。
例)茅野市の場合
税額=課税標準額×税率(0.2%)
使っていてもいなくても、不動産を所有している限りこれらの税金を納める義務があります。
2.水道代・電気代
定期的に通水しないと水道管が錆びたり、排水トラップが干からびて下水の臭いが上がってきてしまうので、水道も契約したままにします。
電気は掃除や点検のため。
空き家の場合、両方とも基本料金程度となりますが、長期になると通算でけっこうな額になってしまいます。
3.その他メンテナンス費用
その他にも、
〇庭木の剪定:草木が伸び放題だと近隣から苦情がくることも。
〇外壁・屋根の塗装:10年毎が目安ですが、ひび割れなど状況に応じて塗り替えます。
など、メンテナンスのために様々な費用がかかります。
所有者が遠方の場合は交通費も。
空き家管理サービスを行う業者も増えています。
放置される空き家
家を使わなくなってからの期間が長くなると、所有者の気持ちが離れてしまう、
相続が発生して現在の所有者はその家に行ったことがない、というケースも出てきます。
その結果、倒壊など、周囲に危険が及ぶおそれがあるほどの空き家が生まれてしまいます。
蓼科・八ヶ岳エリアだと、特に標高の高い位置にある別荘に放置状態にあるようなものが多く見受けられます。
空き家が目立つ状況というのは、治安上、景観上もあまりよくないですよね・・・
空き家等対策特別措置法とは
全国で放置空き家が問題となり、平成26年に国会で「空家等対策の推進に関する特別措置法」(通称:空家等対策特別措置法)が成立しました。
これにより、倒壊や不法投棄、悪臭など、近隣に危害、悪影響を及ぼすと判断された空き家は「特定空き家」と認定され、行政から指導が入るようになりました。
行政の指導、命令に従わない場合は、「代執行」という形で空き家が解体されることも。もちろん解体費用は所有者から徴収されます。
これはあくまで最終手段。
最終的には所有者負担とはいえ一時的には税金で解体をすることになるので、行政としても解体の前に、活用に結び付けたいという思いがあるようです。
茅野市でも「空き家バンク」への登録の呼びかけ、空き家住宅の改修に対しての補助事業を行っています。
空家等の適切な管理をお願いします | 茅野市公式ホームページ
しかしこの法律により、
所有者の「空き家を適正に管理する義務」は以前より強調されているといえます。
次回:空き家の活用法を考えよう。
そんなわけで、使う予定のない空き家を所有し続けることは、金銭的にも気持ち的にも負担が大きくなってきます。
特に所有者が遠方に住んでいる場合は、管理を続けることは大変な作業です。
「子どもに遺すのが申し訳ないから」と「終活」の一環として不動産売却の相談をされる方も。
かつては不動産は「プラスの資産」でしたが、最近では不動産はお荷物にしかならない、と「負動産」なんて言葉も生まれました。
では空き家を所有している場合、また使う予定のない物件を相続する可能性がある場合、どうしたらよいのでしょうか。
次回は空き家活用の可能性について考えていきます。